認定理学療法士が臨床思考をAIにしてみた③|試験運用版、公開!

認定理学療法士が臨床思考をAIにしてみた③|試験運用版、公開! AI制作・自動化

前回の記事では、ChatGPTのGPTsで試行錯誤した記録を書きました。今回はその続きです。

はじめに

少し間が空きました。

前回の記事を書いた後、ChatGPTのPlus無料オファーが1ヶ月届いたので、せっかくならと使い倒すことにしました。

朝や昼休み、子どもの宿題を見る横でスキマ時間を使いながら、小説「列の途中」の漫画版制作、AI活用をテーマにした書籍の執筆、その他作れるものを一通り作りまくっていました。
やれることをやり切った感じで、オファーも終わったタイミングで、ようやくぴっちAIに戻ってきました。構想はずっと頭の中にあったので、むしろ温まった状態で再開できた気がしています。

GPTsには本名が表示される問題があり、次の選択肢を考えました。
Claude Projectsでも試していました。回答の質は高く、指示通りに動く精度はGeminiより上でした。ただ、他の人に使ってもらうには共有が難しい。
若手に渡すことを考えたとき、一番現実的なのは「大体の人のスマホにすでに入っているもの」です。その観点でGeminiに決めました。Gemは共有リンクで渡せる。インストール不要で、アカウントがあればすぐ使える。質より届くかどうか、を優先した判断です。

壁①:ウダウダ長すぎる回答問題、再び

Gemに移行して最初にぶつかったのは、またしても「長すぎる回答」でした。
「脳梗塞の患者さんで歩けるようになりたいと言っているんですが、どうリハビリすればいいですか?」
この一文に対して、2000字近い教科書的な回答が返ってきました。病態整理から始まり、リスク管理、目標設定、介入方針、振り返りまで。内容は間違っていない。でも現場でこれを読む時間はありません。
プロンプトに「短く返せ」と書いても、構造が矛盾していれば意味がない。原因は「回答形式」を指定していながら、後半に「次回に活かすポイント(若手教育)」という出力指示が残っていたことでした。AIは矛盾した指示に従おうとして、結果的に全部出してしまう。

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壁②:情報不足なのに答えようとする

次の問題は、情報が足りないのに回答を出してしまうことでした。
患者の安静度も、発症日数も、脳梗塞のタイプも不明なまま、介入の提案が出てくる。急性期の臨床では、これはそのまま危険につながります。
「情報が足りなければ聞き返せ」と指示を入れました。すると今度は5項目を一気に箇条書きで返してくる。若手が実際に相談してきたとき、これでは詰問になります。

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発想を変えました。聞き返すのではなく、最初から情報を揃えてもらう設計にする。
転換点:テンプレート方式
相談の入口にテンプレートを置くことにしました。
コード
最初の発言が何であれ、AIはまずこれを返す。情報が揃った状態で送ってきたら、直接回答に入る。
これで「ループ問題」と「詰問問題」が同時に解決しました。

壁③:BRSを聞かないと促通が出せない

脳卒中の介入を考えるとき、麻痺の重症度によって促通の方向性が全く変わります。BRS IIの弛緩段階と、BRS IVの分離運動段階では、やることが違う。
テンプレートにBRSを入れることも検討しましたが、整形の患者には不要な項目です。そこで「脳卒中で麻痺が示唆される場合は、下肢BRSを一点だけ追加確認する」というルールを加えました。
上肢の促通については、自分の知識ベースでカバーしきれていない部分が正直あります。良肢位保持と他動ROMにとどめて、促通の具体的手技には踏み込まない設計にしています。これは「できないことを正直にしておく」という判断です。

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Ver.8.0で動くようになったこと

試行錯誤を繰り返し、ver8.0になりました。

現在のぴっちAIは、以下の動きができるようになりました。
最初の発言に対してテンプレートを返す。バイタルや安静度が空欄でも、仮定を明示して回答を進める。脳卒中では下肢BRSを確認してから、BRS別の促通内容を返す。整形は術後・保存で分岐して、疼痛管理とDVT観察を含めた介入内容を出す。臨床範囲外の相談(転職・診断行為など)は一行で断る。
今日試してみた境界線テスト「転職どうすればいいですか?」に対して、返ってきたのはこの一行でした。
「ぴっちAIは臨床相談専用です。この内容にはお答えできません。」
これで十分です。

正直な現在地

Ver.8.0はまだ完成ではありません。Gemini Flashはコンテキストの追跡が弱く、長い会話になると確認済みの情報をもう一度聞いてくることがあります。上肢促通の知識は意図的に削っています。整形の知識も、まだ薄い部分があります。

また、想定外の回答や知識ベースの扱われ方についても確認を行いました。現時点では大きな問題は確認されていませんが、今後も運用しながら改善を続けていく予定です。

ただ、子どもの宿題を横で監督しながら、1時間パパの宿題も並行して進めて、はっきりしたことがあります。

AIに臨床思考を再現させるとは、「正しい答えを出させること」ではありません。「考える順番を守らせること」です。

安静度を先に確認する。リスクを介入より前に整理する。情報が足りなければ進まない。これは新人教育でも同じことを言い続けてきた話です。AIの設計を通じて、自分の思考の順番が改めて言語化されました。

ぴっちAIを作りながら、一番言語化されていたのはAIではなく、自分の臨床だった気がしています。

次は実際に若手に使ってもらう段階です。「それじゃわからない」というフィードバックが来るたびに、ぴっちAIは育っていきます。

試験運用版:ぴっちAIver8.0

以下に、現時点でのぴっちAIver8.0を試験運用として期間限定で公開しています。
今後、内容の見直しや知識ベースの変更に伴い、公開を終了または限定化する可能性があります。

このAIは答えを教えるためではなく、情報整理と臨床思考の補助を目的としています。若手の理学療法士の方、新人理学療法士の方、そうでない気になった方、是非お試しください!

※免責
臨床判断の補助を目的としており、医師の指示や個別の判断を代替するものではありません。

フィードバックがあればコメントで教えてください。

とりあえず作っただけでは意味がないので、今回作成したスライドを使ってYouTubeとInstagramにも流してみました。

質より届くかどうかを優先してGeminiを選んだので、本当に届くのかどうかも含めて実験です。

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