【新人PT必読】評価中に手を塞いでない?|患者安全を守る装備術

【新人PT必読】評価中に手を塞いでない?|患者安全を守る装備術 PT臨床

​【この記事の要約】評価中の「両手ふさがり」による転倒リスクを防ぎ、患者さんの安全とスムーズな測定を両立する「腕時計&ペラペラメジャー」の現場に即した活用術をお伝えします。​

【免責事項】

本記事の内容は臨床の参考情報であり、特定の効果や安全性を保証するものではありません。実際の臨床判断や物品の使用にあたっては、患者様の状態、主治医の指示、および所属施設の規定(感染対策・安全管理など)を最優先とし、ご自身の責任にて行ってください。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなるトラブルや損害についても、筆者は一切の責任を負いかねます。

はじめに:両手が塞がっていたあの時の冷や汗

​新人時代、私は患者さんの10m歩行テストを測定していました。

​右手にはストップウォッチ。

​左手にはクリップボード。

​新人の頃は、「正確に測ること」に意識が集中しやすく、私も例外ではありませんでした。

​歩行速度、歩数、ふらつきの有無、介助量――

​評価項目を頭の中で確認しながら、患者さんの歩行を追っていました。

​「このまま最後まで歩けそうだ」

​そう思った次の瞬間、患者さんの足元がわずかにもつれ、身体がふらっと傾きました。

​咄嗟に支えようと手を伸ばしましたが、その時の私は両手が塞がっていました。

​慌てて右手のストップウォッチを離し、左手のクリップボードを抱え込むようにして身体を寄せましたが、反応はほんの一瞬遅れました。

​幸い患者さんは転倒せず、その場で体勢を立て直すことができました。

​何事もなく終わったものの、

​「もし、あの一瞬で支えきれなかったら」

​評価を正確に行うことばかりに意識が向き、患者さんの安全を守るために、自分がすぐ動ける状態を作れていなかった。

​この経験で私は、臨床では技術や知識だけでなく、“すぐ支えられる装備”を整えることも臨床力の一部なのだと痛感しました。

​評価道具をどう持ち歩くか?直面するポケット問題

​今回は、新人PTに向けて、「安くていいからストップウォッチ機能付きの腕時計」そして「かさばらないペラペラメジャー」の導入をおすすめします。

​臨床現場では、歩行速度の測定、ファンクショナルリーチテストの距離測定、リハビリ実施時間の確認など、時計やメジャーを使う場面が非常に多くあります。

​しかし実際に困るのは、それをどう持ち歩き、どう使うかです。

​白衣やスクラブのポケットには、すでにメモ帳、ペン、重要書類、PHSなどが詰まっています。

​さらに、腰回りから大きなストップウォッチや重い金属製メジャーをぶら下げると、移乗介助や歩行介助の際に身体の動きを妨げてしまいます。

​そして何より、冒頭のように手に持つことで片手が塞がることは、患者さんの転倒リスクへの即応性を下げる危険があります。

​実践!邪魔にならない「腕時計」と「ペラペラメジャー」の活用術

​そこで活躍するのが、ストップウォッチ機能付きの腕時計、そして柔らかい手芸用のペラペラメジャーです。

​腕時計は手首に巻くのではなく、ネームバンドやスクラブの胸元のループ(ピラっとした部分)などに巻き付けておくのがおすすめです。

​手首に時計があると、徒手的なアプローチや介助時に患者さんに時計が当たってしまうリスクがあり、手洗いの際にも邪魔になります。胸元などに固定しておけば、手首の動きを一切煩わせることなく、常に両手を完全に空けた状態で時間を計測できます。

​汚れたりぶつけたりすることも多いため、高価なものは必要ありません。新人時代は“気兼ねなく使い倒せる安価なもの”のほうが実用的です。

​また、ペラペラメジャーもネームバンドに取り付けておくと非常に便利です。

​ここで重要なのが、ネームバンドのかけ方です。単に首から下げるだけだと、前かがみになった際にぶらぶらと揺れて患者さんの顔に当たってしまったり、それを気にすることで介助動作が制約されたりします。

​おすすめは、ネームバンドを「たすき掛け」にし、長さを適切に調節しておくことです。これにより、メジャーや時計を固定位置に安定させることができ、ポケットを圧迫せず、必要な時にサッと引き出してすぐ使えるようになります。

​※ただし、病院によっては感染対策や介助時のリスク(首が絞まる等)を考慮してストラップ自体を禁止している場合があります。その際は施設の規定に合わせて、クリップ等で胸ポケットに固定する運用を検討してください。

​おわりに:すぐ動ける準備ができていること自体が「技術」

​新人時代は、知識や手技ばかりに目が向きがちです。

​ですが実際の臨床では、安全にすぐ動ける準備ができていること自体が技術 です。

​装備が整うだけで、評価中の焦りは減り、患者さんのわずかなふらつきにも余裕をもって反応できるようになります。

​臨床で大切なのは、正確に測ることと同じくらい、安全に支えられることです。

​患者さんの安全を守りながら、自分自身も落ち着いて評価できる環境を、まずは装備から整えてみてください。

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