※本記事は、臨床10年以上の理学療法士としての経験に基づく個人的な考えです。特定の個人や施設を批判する意図はありません。
はじめに
最近はAI活用や自動化、ITに関する記事ばかりになっていました。
今回は、久々にSNSを見ていると、気になる投稿があったのでそれに対しての話です、
「20単位こなせないのは努力不足。」
「定時退勤できるのは単位を削っているから。」
「16〜17単位なら減給も検討すべき。」
そんな意見を目にしました。
病院経営を考えれば、生産性を意識することは大切です。
私自身も、組織に所属する理学療法士として固定給をいただいている以上、ある程度単位数を意識することは当然だと思っています。
しかし、本当に理学療法士の価値は単位数だけで測れるのでしょうか。
単位は「制度」であって「医療」ではない
現在の診療報酬制度では、20分を1単位として評価されます。
この制度は必要です。
病院が経営を続けるためにも、収益を上げるためにも欠かせません。
だから私たちは制度を守ります。
しかし、
20分という時間が、すべての患者さんにとって最適な介入時間とは限りません。
これは臨床をしている理学療法士なら、多くの人が感じたことがあるのではないでしょうか。
5分で十分な患者さんもいる
例えば、
自主訓練の確認だけの日。
装具の微調整だけの日。
歩行の最終確認だけの日。
このような日は、臨床的には5〜10分程度で目的を達成できることもあります。
一方で、
重症脳卒中患者さんの離床。
家族指導。
退院支援。
高次脳機能障害への介入。
これらは20分では到底足りないこともあります。
つまり、
患者さんに必要な時間と、制度上の1単位は必ずしも一致しません。
だからといって制度を軽視しているわけではない
ここで誤解してほしくないことがあります。
私は現行制度を否定しているわけではありません。
現実には20分に満たなければ1単位として算定できません。
そのため、臨床では患者さんに必要な範囲で20分間のリハビリ内容を考えます。
また、その日の予定が急な退院や手術、体調不良などで16単位程度になりそうな日は、
「今日介入した方がよい患者さんはいないか。」
「担当外でも必要としている患者さんはいないか。」
と周囲に確認しながら介入先を探すこともあります。
組織の一員である以上、病院収益を意識することは当然だからです。
つまり、
制度は守る。
これは大前提です。
それでも単位数だけでは専門性は測れない
しかし、
制度を守ることと、
制度だけで理学療法士の価値を判断することは別問題です。
もし評価基準が単位数だけになれば、
必要性が低い患者さんにも20分介入する。
漫然とマッサージを続ける。
書類や家族指導、多職種連携より単位を優先する。
そんな行動の方が評価される可能性があります。
でも、
それは本当に患者さんの利益でしょうか。
本当の専門性とは
私は理学療法士として最も大切なのは、
「患者さんに必要なリハビリを判断できること」
だと思っています。
治るものを治す技術。
治らないものを見抜く判断力。
必要十分な介入時間を選択する力。
患者さんや家族との信頼関係を築く力。
医師や看護師など、多職種と協働する力。
こうした能力は、単位数では測れません。
しかし、制度が変わっても価値を失わない能力です。
制度は変わる。でも専門性は残る
診療報酬制度はこれまでも何度も変わってきました。
これからAIが普及し、書類作成や記録業務はさらに効率化されるでしょう。
診療報酬も、働き方も変わるかもしれません。
しかし、
患者さんを評価する力。
適切な介入を選択する力。
患者さんとの信頼関係を築く力。
こうした専門性は、制度が変わっても残り続けます。
だから私は、
日々単位をこなしながらも、
単位をこなす技術ではなく、専門職としての技術を磨き続けたい。
そう考えています。
おわりに
単位数を意識することは悪いことではありません。
病院職員として、生産性を考えることも当然です。
私自身も現行制度に従って働いています。
ただ、
単位はあくまで制度です。
理学療法士の本当の価値は、
「何単位取ったか」ではなく、
「患者さんにどれだけ価値を提供できたか。」
そこにあるのではないでしょうか。
制度を守りながらも、制度に振り回されず、本質を見失わない。
そんな理学療法士でありたいと、私は思っています。


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